
「使徒の働き」は、イエスさまの物語の続きとして、ルカが書き記したものです。ルカは、自身の福音書を次のように始めています。「私も、すべてのことを初めから綿密に調べておりますから、尊敬するテオフィロ様、あなたのために、順序立てて書いて差し上げるのがよいと思います」(ルカ1章3節)。そして、「使徒の働き」は次の言葉で始まります。「テオフィロ様。私は前の書で、イエスが行い始め、また教え始められたすべてのことについて書き記しました。」(使徒の働き1章1節)
「使徒の働き」は、教会が誕生してからの最初の30年間(西暦30年から62年まで)の出来事を記しています。
イエスさまは、全世界に対する御国の使命のために、天より遣わされました。その働きは、バプテスマのヨハネから引き継いだ、わずか数人の弟子と共に始まりました。イエスさまが当初弟子たちに示された働きの目標は、イスラエルのすべての町々に福音を届けることでした(マルコ1章38節)。
しかし実際には、より大きな使命のために弟子たちを整えておられました。イエスさまは、御国の真理を教えただけでなく、ご自身の人としての歩みを通して、御国を中心として聖霊に頼る生き方を、模範として弟子たちに示されました。イエスさまの働きは、リーダーを任命し、彼らに権限を与えて新たな場所へと遣わすことによって、遠く広く拡大していきました。さらにイエスさまは、十字架で死なれる前、御国の使命の全体像を次のように語られました。「御国のこの福音は全世界に宣べ伝えられて、すべての民族に証しされ、それから終わりが来ます」(マタイ24章14節)。
イエスさまのビジョンは、当時も今も変わることなく、世界中のあらゆる民族の中に神の御国が確立され、そこで神さまの御名があがめられ、御心が成就することです(マタイ6章9〜10節)。
イエスさまは、失われた人たちとどのように心を通わせたらよいのか、弟子を生み出す弟子をどのように育てるのか、この過程を繰り返してあらゆる民族に届いていけるリーダーたちをどのように見極め、訓練していったらよいのかを弟子たちに示されました。イエスさまは、この地上で始められたことを、ご自身の約束のとおり、ご自身の霊に満たされた弟子たちを通して天から継続されたのです。「わたしを信じる者は、わたしが行うわざを行い、さらに大きなわざを行います」(ヨハネ14章12節)。
「わたしが去っていくことは、あなたがたの益になるのです。わたしはあなたがたのところに助け主を遣わします」(ヨハネ16章7節)。
「聖霊があなたがたの上に臨むとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリアの全土、さらに地の果てまで、わたしの証人となります」(使徒の働き1章8節)。
これが、「使徒の働き」の物語です。この書は、イエスさまの弟子たちが、イエスさまに教えられたとおりに御霊に依り頼む生き方を実践していく中で、神の御霊のムーブメントがどのようにあらゆる民族に届き、御国を確立・拡大していったかを捉えています。また同時に、御霊のムーブメントが進んでいく背景を私たちに示しています。それを通して私たちは、新約聖書の様々な書簡をイエスさまの宣教という文脈の中で理解し、適用することができます。わずか30年という短い期間のうちに、御国の土台が築かれ、その影響は社会全体に及びました。そして、至るところで新たな弟子や教会が生まれ、育っていったのです。
要約: この期間は、イエスさまの死、復活、昇天後の最初の数年間を指します。任命された使徒たちは、「弟子を作りなさい」という命令に従い始めましたが、エルサレムの外には出て行きませんでした。この期間は、爆発的な成長、迫害、奇跡が起こった時代であり、同時に、信徒たちの共同体の基礎となる特徴が形成されていった時期でもあります。

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